話題の広場

美味しい静岡・いっぴんコラム

その3~造り手・売り手・飲み手の和

平成19年、20回目の節目を迎えた静岡県地酒まつり。(ホテルセンチュリー静岡にて)

 今回は、静岡県ならではの“造り手・売り手・飲み手の和”についてご紹介しましょう。

 前回ご紹介しましたとおり、静岡県の吟醸酒は、昭和61年の全国新酒鑑評会での入賞率日本一を機に、酒造業界では大きな注目を集め、新しい銘酒どころとして、認知され始めました。しかしながら、吟醸酒という高コスト、少量生産のアルコール飲料というジャンルで一般的なネームバリューを得るのは一朝一夕ではいきません。25年前に「静岡吟醸」が日本一の品質折り紙つきとなったことは、新聞やテレビでは報道されたものの、すぐにはブームにつながりませんでした。

 当時、品質が良くてもブランド力の弱い静岡吟醸を世に出そう、地酒を見直そうと立ち上がり、営業努力をした心ある静岡吟醸推進店と、インターネットが普及する以前の時代から情報発信方法を模索し、足を使って取材し続ける一部メディアの人々がけん引車となり、静岡吟醸は一大ブームとはいかないまでも、一般消費者の間に広く認知されはじめてきました。

平成20年6月、静岡市内の百貨店で開催されたしずおかフードフェスティバル(県産品フェア)で、静岡吟醸Barがお目見え。百貨店の催事場というフリースペースで、造り手(蔵元)―売り手(Barを経営する酒販店)―飲み手(買い物客)の和が生まれた。

 また、静岡県酒造組合では、県内の酒蔵が一堂に会する試飲イベント『静岡県地酒まつり』を昭和63年からスタート。毎年10月1日(日本酒の日)に、県中部、東部、西部持ち回りで開催し、各地域の酒小売店や卸店を通じて誘客に努め、今では10月1日の恒例行事として地酒ファンに定着しています。22回目の今年は沼津東急ホテルで開催予定です。

 さらに平成10年からは県酒造組合静酉会(青年部組織)主催の『静岡県地酒まつり IN TOKYO』がスタート。初期は恵比寿のウェスティンホテル東京で、その後、一ツ橋の如水会館に会場を移し、9月の第一日曜日に開催し、首都圏で静岡酒PRに努めています。

 地酒まつりは県内でも東京でも、毎回400人以上の来場者でにぎわいます。飲み放題のイベントですから、さまざまな工夫や配慮も必要で、この種の、この規模のイベントは、普通ならプロのイベント業者や広告会社の力を借りてもいいところでしょう。しかし、県酒造組合ではすべて自分たちで企画・出資し、運営やチケット販売も行っています。蔵元や杜氏が自ら率先してブースでPRに汗流すのです。消費者にとって一番安心できる“顔の見えるモノ選び”の場、生産者にとっては消費者の声をダイレクトにキャッチできる有意義な場になっています。加えて、地酒まつりでの蔵元の奮闘ぶりに刺激をうけた流通業者が、今では自発的に試飲イベントを開催するようになり、そこに多くの蔵元が呼ばれ、消費者とのふれあいの機会は格段に増えています。

平成21年3月に県と藤枝市が開催した「藤枝の酒蔵プレスツアー」の様子。首都圏の新聞・雑誌社の編集者や記者を招いて静岡県の酒どころをアピール。酒の専門誌や料理雑誌ではおなじみの静岡吟醸だが、一般紙でも大々的に取り上げられるように。

 酒類マーケティングリサーチ会社〈フルネット〉が、平成20年春に行った首都圏での「日本酒好感度ナンバーワン調査」によると、アマチュア部門(一般消費者対象)では①新潟県、②秋田県、③山形県、④静岡県、⑤福島県、プロ部門(東京の銘酒居酒屋対象)では①山形県、②静岡県、③新潟県、④福島県、⑤石川県というランキング結果となりました。4年前の前回調査に比べると、山形県、静岡県、福島県の得票率が大きく伸びたそうで、プロ部門での1位(山形県)と2位(静岡県)は、3位以下を大きく離したとのこと。酒どころのイメージといえば、ひと頃は、大手メーカーを有する新潟、秋田、兵庫(灘)、京都(伏見)などが上位にくるところでしたが、県内全蔵が束になっても灘や伏見の大手一社の生産量にかなわない静岡県の地酒が、これほど高い好感度で首都圏の酒通に浸透するようになったのは、生産者の品質向上にかける地道な努力と、これを理解し一蓮托生の気持ちで歩んできた販売業者の存在と、県内外で続けてきた試飲イベントの常連客になってくれた消費者の協働作業の成果だと思うのです。

 この絆は、誰かが短期間で“仕掛けて”できるものではなく、10年、20年という歳月の中でゆっくりと醸成されてきたもの。これほど造り手-売り手-飲み手が近い関係でつながっている特産品というのも珍しいのではないでしょうか。

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