話題の広場

美味しい静岡・いっぴんコラム

その2、杜氏の技能王国

わさび山。冗談でなく静岡に実在します。

徳川家康公もお気に入りだったという、静岡わさび。

苗を植えればどこでも育つというわけじゃない。

 チューブ入りのわさび調味料は今やキッチンの常備品。しかし、本物のわさびをおろして舐め比べてみると、あまりの味の違いに驚かされる。おろしたわさびは、辛みが鼻にすっと抜け、気品のある香りが漂う。静岡県は実はわさび栽培を全国で初めてスタートした発祥の地。品質は数年前、某ハンバーガーチェーンが商品づくりに各地のわさびを食べ比べて選んだほど。産出額でも全国の6割以上を占め、名実ともに日本一を誇る。

 始まりは、慶長の頃(1596~1615)、安倍川上流の静岡市有東木(うとうぎ)地区でのこと。近くのわさびやま(通称)に自生していたわさびを、井戸頭(いどがしら)という湧水地に移植したことが最初と伝えられている。徳川家康にも献上し、大いに気に入られたらしい。その後、時を経て各地に栽培が広がっていき、大正末期、段々畑のように石積みして大小の石や砂を敷き詰めた「畳石式(伊豆式)」と呼ばれるわさび田が考案された。大型台風や地震に見舞われて大打撃を受けながらも立ち上がり、今に至る。

 わさびの生育は、何よりも水がいのち。きれいな水に恵まれた場所でなければ栽培は難しい。年間を通じて水量がたっぷり確保できること、水質は弱酸性で窒素分が多いこと、水温は12~13℃が適温といわれる。水質は土壌に左右されるものだから、水さえあればどこでもいいというわけじゃない。たとえば、同じ安倍川上流域でも、東側地域ではよく育つが、西側ではどうも育ちにくい。これも、岩盤の土質の違いによるものと考えられている。水涸れや水温上昇は根腐れにつながる命取りだから、つねに目をかけ、手抜きは出来ない。

 わさび田の四季は美しい。春になると小さな白い花をつけ、夏には日差し除けの寒冷紗※(かんれいしゃ)の下で緑の葉が揺れている。秋には周囲の紅葉に映えてつやめき、冬には凛として見える。自然のリズムと歩調を合わせて生きている。
※ 寒冷紗・・・目の粗い布のこと。一般的にはカーテンや蚊帳などに使われるが、わさび田や茶畑では黒色の寒冷紗を日除けのための覆い布として利用している。

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